ヒトもすなるblogといふものをネコの私もしてみんとて、するなり。

2005年09月09日

ブックレビュー「心を生みだす脳のシステム」

心を生みだす脳のシステム(著:茂木健一郎)の感想をば.

「「私」というミステリー」という副題がついていて,現在の脳科学でも解明の進んでいない「心」や「私」といった部分についての話.
この本では一貫して「クオリア」という言葉が,「心」を構成しているモノとして用いられている.
この「クオリア」は,「赤い」とか「痛み」いった主観的に感じられる質感などを指すことばとして心と脳の問題を扱う中で使われるらしく,細かくは「感覚的クオリア」と「志向的クオリア」にわけて用いられていた.
「感覚的クオリア」は色や光沢のような環境の性質が感じられたときの質感で,「志向的クオリア」はもっと抽象的にたとえば「バラ」を「バラ」と認識・解釈したときのそのときの心の状態のようなものらしい.

全体を通しては脳のどの部位と部位が関連してどのような働きをしているのかということや,最近話題のミラーニューロン,錯覚や実験を通して脳の中での認識のプロセスなどを紹介し,そのような「クオリア」が複雑に絡まりあって「心」を形成しているという感じの内容でした.

ただ,単なる神経の集まりがどのようにしてクオリアへとなっているかの根本的な答えというわけではなく,「心とはなんぞや?」という問題への答えを期待して読むとちょっと違います.
それでも,比較的哲学などの分野で論じられてきた「心」というものの存在が,脳としてどうなのかという点から論じているなかなか面白い本でした.

「志向的クオリア」は意識に上って初めて「クオリア」になるのであって,その前の段階でも脳の中で無意識にはさまざまな処理がされているはず.
そうするとその意識に上る過程と,それがどうして意識に上ってくるのかという選択のプロセスの部分にも興味が湧いてきました.

結構読んでから時間経ってるから忘れているなぁ…(´・ω・`)

投稿者 CopyCat : 2005年09月09日 23:45

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