ヒトもすなるblogといふものをネコの私もしてみんとて、するなり。

2005年09月17日

ホムンクルスとは

刹羅さんから9月14日の記事に関連してホムンクルスについて質問をいただいたのでこの話を.

正確には「ホムンクルス誤謬」なんて呼ばれている問題で,ホムンクルス自体は元々昔の錬金術師が作ったといわれる「小人」の人造人間のことでした.
ただ「ホムンクルス誤謬」の話になると,心理学や脳中でのプロセスの循環性についての話題になります.

知能とは頭の中に「賢い小人」がいて,その「小人が」ヒトの記憶を探したり好き嫌いの判断をしてくれているからだと仮定します.
すると今度はその「賢い小人」の「賢さ」はいったいどこから来ているのかと考えたら,またその「小人」の中に「小人」がいて,その「小人」の中にまた…と無限ループになってしまいます.
「小人」を仮定しなくても,脳の中のどこかに意思などを司る中枢があってそれが脳の全体を見渡していると考えても同じようなことになってしまいます.
この無限ループになってしまうことを「ホムンクルス誤謬」と言っています.

だからといって単純に脳でやっていることだと言ってしまえば楽だけど,そもそも脳の中の神経細胞は単なる細胞であって,それを一個取り出しても絶対に「知能」や「心」は表れないはずです
その意思を持たない細胞からどうやって意思らしきモノが生まれているかの答えにはなっていません.

ロボット学会で聴いた下條信輔氏の講演で,最近では脳の研究でも「腕を動かそう」と意図した瞬間より数百ミリ秒早く,脳の腕を動かす部位が準備を始めているという結果が出ているそうです.
「脳はなぜ「心」を作ったのか」でも触れられていたことだけれども,この結果からひょっとしたら「自由意志」というモノも実は存在しないのではないかなんて話も出ていたり,なかなか難しい問題です.

まあ「自由意志」に関して言えば,脳の活動が意図した瞬間より早いからといって,それもひっくるめて「私」の脳の活動の結果だと考えれば広い意味での「私」の「意志」だと言えなくもない気がします.

投稿者 CopyCat : 2005年09月17日 21:27

トラックバック

このエントリーへのトラックバックURL:
http://scarecrow.s151.xrea.com/x/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/26

コメント